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私の中の彼へー青き騎士ー第6回★
JUGEMテーマ:漫画/アニメ

私の中の彼へー青き騎士ー第6回★
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★
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ある日、私が、学校から家へかえると、見知らぬ男が待っていた。
都市の男らしかった。
ある種の威厳と、ほかの人間に恐怖心を与える印象を与える人だ。
両親は、不思議に、この男には丁寧態度をとっていた。

養父は、私を目ざとく見付け、男に言った。

「ゲイターさん、この子がそうです」
「ああ、この子が沙織か、立派に育ったじやないか」
「そうでしょう。アイスの攻撃を受け生き残った子供、ニューオーハンで成長できたの子供は、わずかだって聞いていまさあ。この沙織は特別元気でさあ。使い物になると思いますよ」

「母さん、このおじさんは」
「政府機関の方だ。いいかい、よくおききき。ね、沙織、今日から、お前は、この人にもらわれていくんだ」
「沙織クン。連邦軍用語でいうと、君は連邦政府組織「ローズバット(ばらのつぼみ)」管理下に入るのだ」
ゲイターが付け加えた。

つまりは、買われていくのだ。

「いやよ、急に何を言いだすの」
「おやおや、お前たちは、この沙織クンには、彼女が政府組織「ローズバット」の所属物であることを知らせていなかったのか」
ゲイターと呼ばれた男は言った。

「そうでさあ、へんな事を知られて逃げられると困ると、思いましてねね」
養父は、それこそ、揉み手をせんばかりに、ハンドラーのゲイターに卑屈に言った。「ローズバット」の育て役をハンドラーと呼ぶ。

その時、別の「地獄のかま」が、開かれたのだと、私は思った。

●シーン6

「沙織クン、悲しむことはないぞ。
いわば、君はね。選ばれし人類のエリートなのだから」
ブルーの目をもつゲイターが、ゆっくりと深いこころに響くような声でいった。


組織「ローズバット」所属の車の中だった。ゲイターが、私にしやペリかけていた。

ワゴン車には、他にも女の子たちがのせられていた。

「エリートですって。そのエリートの私になにをさせようとするるの」
「地球連邦政府に対する非協力者の排除、、の役目を君たちが行う」
「排除、つまり、エリートが殺しをするの」

「そうだね、そういうことだ。今、政府は、猫の手でも借りたい。
対アイス戦争で人材が払底している。君たち、ニューオーハンで、ある種の能力に優れたものが
集められている。それも女の子ばかりだ。

男の子は戦士として対アイス戦の前面に立ってもらうからね。
これは地球連邦政府が選びきめた政策なのだよ。その計画を実行監視するのが、私、ゲイターの役目なのだよ」

私は決意した。ここから逃げよう.

この世の中には、恐らく、まだ、ましな世界がどこかに残っているに違いない。
車が止まり、私は、しばらくの休息の間、ゲイターの隙を見計らい、ワゴンから逃れた。

対アイス戦場である、アイズフイールドのこのあたりは、私の遊び場も同然だった。

しかし、すぐに、ゲイターは私を見付けた.
「遊びはいいかげんにしたまえ。沙織クン、私達、人類にはあまり「時間資源」が残されていないのだ」
怖い青い目で、ゲイターがつぶやいた

「ついでに教えておこう.沙織クン。君の頭の中の悪魔には、コードナンバーが打たれている。

我々は、そのコードナンバーを捕捉察知できる、つまり君がどこにいるのるか、すぐわかるのだよ」

私の頭の中の悪魔とは、「アイス」が私たちの頭に打ち込んだ小さな「生体機械」なのだ。
アイズに教われた人類には、かならず埋め込まれている。
すこしの間、ゲイターはだまり、そして悲しげでシヅカナ声でつぶやいた。

「沙織クン、いいかね。人類の誰もが、自分の運命からは逃れようがないさ。
それは、この私ゲイターも同じじなのだよ。沙織クン」

ゲイターは私を捕まえ、私の両眼をしばらくのぞきこんでいた。
やがて、ゲイターはワゴンのコックピットヘ戻った。
私は、ワゴンの中で泣きわめいた。

私の隣に座っていた、ハシバミ色の髪をした女の子が話しかけてきた。

「いいかげんにしなよな。あんたが泣くとさ、みんなが不安がるだろう。だから、
泣くのはおやめよ。あたしだって、みんなだってつらいさ」

その子は、やさしく、ワゴンの間中わたしの肩を抱き締めてくれた。
泣きながら、私はこの子とは友達になれそう気がした
「あなたの、名前は」
「花咲(はなさき)だけど、チェリーでいいさ」
「私は」
「知っているさ。沙織だろう。ゲイターがいっていた」

ローズバットは、また別の意味で、練獄だった。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所20090701改定
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 20:25
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私の中の彼へー青き騎士ー第9回
JUGEMテーマ:連載
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第9回●シーン8

 この後、私、沙織は移動略奪隊「ローズグループ」の民となった。
既存するコロニーや残存する地球連邦軍戦略基地を略奪し、人を殺す。テクニックは「ローズバット」で教わった通リだった。逆に体が反応していた。
 1シーズンがすぎた頃、あるコロニーを襲っていた。
そして、見覚えのある老夫婦が、私の前にひきずりだされてきた。
「ごいつらか、ボスを育てたって言ってます。いちおう、殺さずにおいたのですが」
 驚いた事に、そう、養父母だった。
私のゆがんだ性格の最大原因。「ローズバット」に私を売り払った張本人だった。
「ああ、沙織様、私です、あなたの命の恩人を覚えていてくださいますよね」
「そうです。私たちはあなた様の育ての父と母です。幼ない頃、世話をしてさしあげた。
まさか、それをお忘れれではないしょう」
まだまだ大様な態度。あの頃とはほとんど変わっていない。
が、私は、あの頃の私ではなくなっている。
「こんなやつらは知らない。家と一緒に焼き殺してしまいな」
私の声は冷たい

「なんて奴なんだ」
2人は驚きの表情だ。態度か豹変する。
「お願いだ、助けておくれよー」
二人は私の足元にひざまづき、今にもにも足の裏までなめそうだった。
「おまち」
私は仲間に言った。
「そいつらを助けておやり」
「ここから逃がしておやリ」
「しかし沙織、こいつから」チェリー花咲が言った。彼女は事情をよく知っている。
「ローズバット」訓練時代に話をしていた。
「ぃぃんだよ、私が決めたんだ」
「沙織。お前はやはり優しい子だよ」
「そうさ、昔から良い子だよ」
「いいから、早く私の目の前から消えて」

二人は、私の足にせっぷんし、それこそ、少なくなった動物資源「ねずみ」のように逃げ去っていった。
「たまには、いい事をするね、沙織」
チェリーが言った。
「いいかい、あまったれるんじやないよ。ここから逃げたって、どうやって生活できる。外は冷たいよ。もうすく雪のシーズンだ。どうせ助かりっこないさ」
 か、その考えはあまかった。
彼ら二人は通信機を持ち逃げした。
私連の居所を知らせると、政府から賞金がでる。私たちの首には賞金がかかっていた。
居場所が知れると、残存する政府軍か捕縛の手を伸ばしてくる。
おまけに小型のビーグルまで盗んでいた。

 私通は父母を追跡するはめになった。
「だから、沙織、いわないこりちやなぃよ」
チェリーがうめいた。
「今のあんたには、「慈悲」なんて言葉が、似合わないのさ」
 私達は、彼らをようやく苑―し、今度こそ、息の根をとめようと思った。
 が、二人は、政府軍遊撃部隊「狼部隊」の1台の人工頭脳装甲機に保護されていた。

それが、彼との出会ったはじめの時だった。その時も、私は、まだ、彼が私にとっての「青き騎士」だとは気づいていなかった。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 19:27
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私の中の彼へー青き騎士ー第8回
JUGEMテーマ:連載JUGEMテーマ:連載

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●シーン7
 「ロメオ」に通じる二ュー・アッピア街道には腐敗したアイスブレッドの体が、金属製の十字架にかけられてぶら下げられている。
みせしめだった。
この地球連邦のローマ基地、つまリアイスフイールドの兵姑某地「ロメオ」に通じる街道全てに、同じような「アイスブレッド」の亡きがらが、かかげられていた。

地球連邦の抵抗の姿勢である。
 沙織たちの乗った輸送エアカーゴは、その犠牲者群の前をゆっくり通リすぎていく。
「くそっ、いやだよっあんな姿になるなんて、ねえ、沙織」
 ローズバットの一人であるチェリーが叫んだ。

「安心しなさい。普通の人間にはあんな事はしないからね。おっと君たちは、、普通の人間ではなかったか。許してくれたまえ。君たちは、しかしながら、我々のエリートなのだ」
ありがたくも、ゲイター氏が、我々が特別種の人間で、普通の人間ではない事を認識させる言葉をのたまわった。
つまりは、私たちは普通の人間として、帰るべき場所はないのだ。

私たちは、ローズバットの新入りとして、戦略基地「ロメオ」に送られる途中だった。
 

数力月後、私の手は血まみれになっていた。
人の死に無感勣になっていた。

連邦政府は、連邦軍の戦略に反対する勢力を抹殺していた。
連邦政府の戦略方針に反対する普通の人間も、抹殺を図っていたのだ。
その暗い仕事の担い手が、私たち黒いバラのつぼみローズバッドの1部隊だった。

「連邦政府の戦略判断ミスが、対アイス戦で地球連邦政府をおいつめているのではないか」
そういううわさも立ち消えさせている。
アイスに対する平和解決策、融和政策を発言するものもだれ一入としていなくなった。
一種の軍事独裁国家となっていた。

 私達ローズバットの暁佳区を、「ロメオ」基地では「収容所」と呼んでいた。
決して味方では、なく、限りなく敵アイスに近い存在だ、なぜなら
「アイズブレット」を打ち込まれたニューオーハンだからである。いつ敵になるかも知れない奇妙な存在だからだ。

 ローズバッドの存在をしらしめないために、政府は隔感政策をと
っていたのである。
「収容所」は厳重な監視の上になりたっていた。

私たちは、牢獄に暮らしているのと、何ら変わりなかった。
年頃の少女が、なぜ、こんな施設に。
私達は自分自身の運命を呪った。

やがて、きっかけが訪れた、
連邦政府が、アイスの攻撃でやられた.
そんなうわさが、私達の収容所にも拡がっていった.
「アイスフイールドでも、地球連邦軍か全滅状態に陥ったそうだ」
そういえば、指導員の奴らも、浮足立っているな.チャンスだよ、沙織」
仲間の一人、チェリーが言った。
「どうするのさ」
「脱出だ」
「どこへでも逃げるの」
「どこハでもさ.どうせ無政府状態になる.そうなれば、力が支配する社会となるさ」

 その崩壊は、突如やってきた。
アイスの飛行端子、アイスレンズの大群が、我々の絶対防衛圈にある兵姑基地「ロメオ」近くまで侵入してさためである。うわさはやはり、真実だった
「はやく、沙織」
チェリー花咲が叫んでいた。
アイスの飛行端子の光線が「ロメオ」基地のあちこちをなめでいた。
移動ビーグルにはローズバットの仲間が何人かすでに乗っている。
「チェリー、どうしたの。この子たちは何」

「我々の後輩さ」
彼女たちの目はおびえていた。ローズバット新人たちだ。
「仲間が多い方がいいだろっさ。生きのびるためにはね」
「チェリーさ、あなたの手なみの良さには、ほれぼれするよ。兄弟」
「いいかい、早く。急いで、脱出するよ」
私達の移動ビーグルは、アイスの飛行端子の攻撃によって破壊された防衛網をやすやすとくぐりぬけていた。
「さて、どうするかだよ、チェリー」
私は言った。
「ローズサークルは不滅さ」
「ローズサークルって何だよ」
「私達のグループの名前さ」

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 19:26
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私の中の彼へー青き騎士ー第7回
JUGEMテーマ:連載
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第7回
 そう、私、沙織は昔を懐かしく思い出す。
組織ローズバットは、練獄だった。と
そして私の青春の1ページだったと。
むろん、私に青春があったと仮定しての話だが、

「アイズブレット」の中から特に殺傷能力がある思われる少女たちをを集めたのが、ローズバット(ばらのつぼみ)だ。
地球連邦政府は、「アイスブレット」である「ニューオーハン」をずっと分析していた。性格と能力の分析後、里親に預けていたのだ。


「こいつらを段せ」
教官の一人は命令した

ローズバット組織の属する訓練施設、巨大なドームの中だった。
訓練期間だった。
最初の研修は終わりをつげていた。

 私たちの眼の前に、青い顔をした生気のない人間たちが、十人
呆然と立っている。何か変な惑じだ。
「だって、人間だよ」
チェリー花咲が言った。
「違う。こいつらはもう人間じゃない。アイス側の人間だ。つまりアイスだ。敵だ。おまえたちを孤児にした敵なのだ」
教官は掃き捨てるように言った。
「だって」
「アイスブレッドの注入が、失敗した人間だ。いわば、人間爆弾だ。廃人だ。安らかな死を、与えてやれ。それが慈悲なのだ」
「でも」私達はためらった。
「お前たちがためらうなら。こうだ」
教官はおもむろに銃をとりだし、そいつらを殺そうとした。


 次の瞬間、何がおこったのか、私には理解できない。
あの生命のない人間たちの眼に、、怒りがみなぎり、我々を屠ろうと手足を武器として襲って来たのだ。

この闘争訓練用ドームには出口はない。
私たちがこの中に入ると、ドームは完全に密封されたのだ。
そのときは、なぜだかわからなかつたのだが。
 私達は戦わざるをえなかった。

教官の銃は辱いとられ、教官に向け発射される。
彼の体はずたずたに吹き飛ばされ、ひきさかれていた。
一瞬の出来事だ、
チェリーや私たちは「こわい」と思った。

教官たちを屠った彼らは、次に私達に目を向けた。
「やめて、やめて、私達は子供だよ」

だが、そいつらは聞く耳をもたない。

 私のすぐとなりにいた子が、まずえじきになろうとする。
 殺すか、殺されるか。選択の余地はなかった。
二つに一つなのだ。自分が死ぬか、相手を倒すかだ。

すでに講習をうけていた殺人テクニックを使わざるを得ない。
敵は強かった。何しろもう普通の人間ではなくなっていた。


 普通の人間だったら倒れるほどの打撃を与えても倒れない。
おまけに、私たちといが武器は与えられていない。自分の体だけか
武器なのだ。

すでに、私達の仲問の何人かが倒されて勤かなかった
それを見て、私の怒りは激化した。
「こいつらを殺してやる」
「沙織、大丈夫」チェリーが叫ぷ。

 私の体のどこかにあるギアが、シフトしたようだった。

数分が過ぎて、私が気づいた時には、体じゆうが血まみれだった。
が、私はすっくとそこに立っていた。
他の仲間も、4人をのぞいて、ぼっぜんと立っていた。むろんチェリーも生き残っていた。
ドームの中央フロアには、死体と肉片が、ころかリそこから湯気が立っていた。加えていやなにおいが充満していた。
それは、血と汗と恐怖のためアドレナリンのにおいだ。
それは、この時以降、生涯に何度も味わう事になる臭いだった。

静けさがあたりを覆う。
誰も声がでないのだ。
その静けさを破リ、急に人の声かした。

「よし、第一過程は終了だな」
ドームの上部部分に穴が開き、あのなつかしき、冷静なるゲイター氏が青い目で観察しているのがわかった。
彼らは、ずっと一部始終を冷静に観察していたのだ。

「ゲイターさん、なぜ、私達を助けてくれなかつたの」
「助ける?フフン、沙織クン、これは試験なのだよ。実施試験のひとつだ。そして、ありがたい事に、これが終わった君達が。生きていくための資格を与えられる。私なら喜ぶがねえ」
「でも、あの教官が死んでしまったわ」
「彼ら?今の姿を見てごらん」
死体の間から、教官たちだった者が次々と立ちあがっできている。
「よく、やつたよ、君たち。喝采ものだ」
彼らは本当に私達を祝福している。
「彼は人間じゃなかつたのね、それじゃ敵も」
「いや残念ながら、敵の人間は本物さ」

私たちは、急に吐き気をもよおしていた。
「おやおや、君たち、輝かしい未来がこれから始まるというのに
何てざまなのだね。祝福のときなのだよ」
「ゲイターさん、あなたの恩は忘れないわ」
「ふふ。頼もしい限りだ。君たち。たよりにしているよ。いや君たちが、最後の人類の希望かもしれないなあ」
ゲイターは、青い目でにやりと笑い、私たちを見た。
私の頭の中で何が、カチリとなった。

これが、私の青春の輝かしい最初の1ページだった。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 14:15
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ある日、私が、学校から家へかえると、見知らぬ男が待っていた。
都市の男らしかった。
ある種の威厳と、ほかの人間に恐怖心を与える印象を与える人だ。
両親は、不思議に、この男には丁寧態度をとっていた。

養父は、私を目ざとく見付け、男に言った。

「ゲイターさん、この子がそうです」
「ああ、この子が沙織か、立派に育ったじやないか」
「そうでしょう。アイスの攻撃を受け生き残った子供、ニューオーハンで成長できたの子供は、わずかだって聞いていまさあ。この沙織は特別元気でさあ。使い物になると思いますよ」

「母さん、このおじさんは」
「政府機関の方だ。いいかい、よくおききき。ね、沙織、今日から、お前は、この人にもらわれていくんだ」
「沙織クン。連邦軍用語でいうと、君は連邦政府組織「ローズバット(ばらのつぼみ)」管理下に入るのだ」
ゲイターが付け加えた。

つまりは、買われていくのだ。

「いやよ、急に何を言いだすの」
「おやおや、お前たちは、この沙織クンには、彼女が政府組織「ローズバット」の所属物であることを知らせていなかったのか」
ゲイターと呼ばれた男は言った。

「そうでさあ、へんな事を知られて逃げられると困ると、思いましてねね」
養父は、それこそ、揉み手をせんばかりに、ハンドラーのゲイターに卑屈に言った。「ローズバット」の育て役をハンドラーと呼ぶ。

その時、別の「地獄のかま」が、開かれたのだと、私は思った。

●シーン6

「沙織クン、悲しむことはないぞ。
いわば、君はね。選ばれし人類のエリートなのだから」
ブルーの目をもつゲイターが、ゆっくりと深いこころに響くような声でいった。


組織「ローズバット」所属の車の中だった。ゲイターが、私にしやペリかけていた。
ワゴン車には、他にも女の子たちがのせられていた。
「エリートですって。そのエリートの私になにをさせようとするるの」
「地球連邦政府に対する非協力者の排除、、の役目を君たちが行う」
「排除、つまり、エリートが殺しをするの」

「そうだね、そういうことだ。今、政府は、猫の手でも借りたい。
対アイス戦争で人材が払底している。君たち、ニューオーハンで、ある種の能力に優れたものが集められている。それも女の子ばかりだ。

男の子は戦士として対アイス戦の前面に立ってもらうからね。これは地球連邦政府が選びきめた政策なのだよ。その計画を実行監視するのが、私、ゲイターの役目なのだよ」

私は決意した。ここから逃げよう.

この世の中には、恐らく、まだ、ましな世界がどこかに残っているに違いない。
車が止まり、私は、しばらくの休息の間、ゲイターの隙を見計らい、ワゴンから逃れた。

対アイス戦場である、アイズフイールドのこのあたりは、私の遊び場も同然だった。

しかし、すぐに、ゲイターは私を見付けた.
「遊びはいいかげんにしたまえ。沙織クン、私達、人類にはあまり「時間資源」が残されていないのだ」
怖い青い目で、ゲイターがつぶやいた

「ついでに教えておこう.沙織クン。君の頭の中の悪魔には、コードナンバーが打たれている。我々は、そのコードナンバーを捕捉察知できる、つまり君がどこにいるのるか、すぐわかるのだよ」

私の頭の中の悪魔とは、「アイス」が私たちの頭に打ち込んだ小さな「生体機械」なのだ。
アイズに教われた人類には、かならず埋め込まれている。
すこしの間、ゲイターはだまり、そして悲しげでシヅカナ声でつぶやいた。

「沙織クン、いいかね。人類の誰もが、自分の運命からは逃れようがないさ。
それは、この私ゲイターも同じじなのだよ。沙織クン」

ゲイターは私を捕まえ、私の両眼をしばらくのぞきこんでいた。
やがて、ゲイターはワゴンのコックピットヘ戻った。
私は、ワゴンの中で泣きわめいた。

私の隣に座っていた、ハシバミ色の髪をした女の子が話しかけてきた。

「いいかげんにしなよな。あんたが泣くとさ、みんなが不安がるだろう。だから、泣くのはおやめよ。あたしだって、みんなだってつらいさ」

その子は、やさしく、ワゴンの間中わたしの肩を抱き締めてくれた。
泣きながら、私はこの子とは友達になれそう気がした
「あなたの、名前は」
「花咲(はなさき)だけど、チェリーでいいさ」
「私は」
「知っているさ。沙織だろう。ゲイターがいっていた」

 ローズバットは、また別の意味で、練獄だった。

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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 14:14
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私の中の彼へー青き騎士ー第5回
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第5回

●シーン5
 私、沙織か始めて「青き騎士の伝説」を聞いたのは。小学校の時だった。
話をしてくれたのは、同級生の移動商人の娘パウエだった。
移動商人とは、戦場地帯コロニーと平和地帯を結ぶ隊商を商売としている。

「沙織ってさ、「青き騎士の伝説」って聞いた事がある?」
「いいえ、何の話なの、それって」
「人類の守護神のごとく「青き騎士」は困難な時にあらわれ、人類を助けてくれるのよ。戦争の伝説よ、何人かの人がそれを聞いた事かあるわ」

「それは、個人ではなく、人類全員を助けるの?。それに、パウエあなた、その青き騎士とやらを見た事はあるの?」私は尋ねた。
「ええ、あるわ、私が別のコロ一てにいた時にね」目を輝かせていた。

 パウエは、それを見た時のことを、まるで映画を見ているように話してくれた。パウエにとり、青き騎士を見たことは、人生最大の出来事なのだろう。
私はたづねる。
「その人は、本当に青き色をしているの?」
私は目を輝かして尋ねた。
「その青はね、地球光の青なのよ。宇宙から地球を見た時の、あの青色なの。そして皆、私たちを幸せにしてくれるわ」

「しあわせにしてくれるって、それじゃこの地球を款ってくれるわけなの」
「そう、私たち地球人類をね」
「それじや、私みたいな「アイスブレッドーニューオーハン」かも知れない人間は無理なのね」
「そうじゃないわ、沙織、全ての人類を救ってくれる」
「ふうん」

 この時も、私は、私がその「青き騎士」に出会うとは夢にも思っていなかった。

 私は幼い頃から、親、育ての親だが、厳しく育てられていた。
それが、何故なのかわけもわからずにいた。

「早く、沙織、この綱をわたるんだ」

 アイスフイールドに吹きわたる寒風の中、その私がわたれと命令されたローブは、、地上3mの位置にぴんとはなれていた。
が、子供の頃の私にとって、それは超高層ビルのいただきにいる、に等しかった。
それでも。それは、日々の日課にすぎなかりたのだが。

 とうとう、ある日、私は呟き叫んでいた、
「やめてよママ、死んでしまう」
母(まま母だが)は言った。
「ふつ、ああ、そうだね。死んでしまった方が、お前は楽かもしれないね」
そして付け加えた
「ふうう、これから、お前はね、もっともっと地獄を見るに違いないのだから」

その地獄が、どれ程の地獄か、私はまだ気づいていなかった、

また、ある日、母は言った
「ほれ、沙織、あの大をつかまえるんだ」
「えー、だって、あれは私のロボット犬花梨(カリン)だよ、つかまえてどうするの」

「わかっているじゃないか。だから、つかまえて分解をするのだ。IC部品が高く売れるだろうが。おまんまが食べられるじやないか。食事をしたくなけれぼ、いいけれどね。おまえ、おまんまをたらふく食べたいだろう」

 ロボット犬花梨(カリン)は、私が、とても愛していた犬だった。子供の孤児になった時からの愛犬だった。

だから、できるだけ苦しまないように、カリンを殺そうと思った。
ロボット犬「花梨」との格闘は、骨がおれた。
彼は、私がじゃれていると、冗談だと考えてていたようだ。

彼は、意思を私に送っていた。私は機械生命の言葉が読めるのだった。
それも私の能力の一つだった。

「私、カリンが死ねば、あなた、沙織が助かるわけですね」
そう、彼はいった。
彼の目は、悲しみをたたえて私をみていた。
「許して、カリン。私は生き延びねばならないの」
「どうぞ、私は逆らいません」

 人工脳神経があつまつている部分を、私は一折りにした。
涙は、でなかつた。
「私は、花梨を殺してまで、なぜ、生き残らねばならないの?それはだれがきめたの」
私は自問自答した。答えはかえってこない。

心は空虚だった。
まま母からいわれた通り、カリンの体をバラバラにして、冷静に使える部分をよりわけた。

 私たち両親ともアイスにおそわれた時、キャラバンに生き残つていた犬だった。その犬を、人工犬コードから、私は後から何とか見つけだし、大事に育ててきたのだ、

 ロボット犬、花梨の首が折れた、
「キューン」
人工生命が消え去る音。
そのカリンのうめき声は、、いつも私の耳朶によみがえる。
記憶の音は、こころにこびりついていた。

そのときは、泣けなかったが。思い出すたびに、涙がこぼれ落ちた。
なぜ、私だけが、こんな目に、会うの。

まま母と父親がいう。地球連邦は、アイスブレッドと思われる子供たちを、養父母をつけて監視させていた。

「それはお前がアイスブレッドだからさ」
「ちがうわよ、私はアイスなんかじやない、人間よ」
 コロニーに住む同じ年頃の子供たちは、もっと残酷だった。
「それじゃ、沙織よ。お前の体温はなぜそんなに冷たいのだ」

そうだった。
私の体温は、普通の子供より低かった。
異常体貿なのだろうか
「やあい、冷血動物やい、あっちへいけやい」
私は泣きながら、家にたどりつく、
泣いてははいたが、けっして涙を人に見せなかった。
学校は、養父母のいる家庭よりまだ、ましだったからだ。

しかし、やがて、そんな私に、、転機が、、訪れた。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 12:43
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私の中の彼へー青き騎士ー第4回
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零が沈む道路表面から、粘ばる液体がわき出ていた。

「トラップドアか!?」。
翔は瞬時、そう考える。
 トラップドアとは、人類と「アイス」との勢力境界に政げられてるアイスの巧妙なワナ。
トラップドアにはいった人間を、瞬時に、アイスの本拠地である「アイスバレス」に電送するといわれていた。
彼らは捕獲した人類を殺しはしない。みずからの命令通り動く人形とする。

それが、「アイスブレッド」である、

 その罠に、翔はひつかかったと思った。
 が、そいつは、並のトラップドアとは異なっていた。
粘性のある液体が、翔を人工頭脳装甲服「零」ごと包みこんでいた、しめあげられ
彼の装甲服、つまりは「零」の体のはしばしが、きしんでいた。
「こいつは本当にアイスか」
翔は巴わず叫びそうになる。
この場面での可能なるあらゆる戦術を、自らの頭脳と零の電子悩で計算しててみる。
冷凍法。光熱法。、、

しかしながら、この液体に対しては反応が皆無であった。
「いったいお前は何者だ」
翔は叫ぶ。

この液体から、声が響きわたる。
「私を何者だと尋ねた?のかね?」
莱の混乱した意識を覚醒させる。
「私は、地球意志だ」
その声か答えた
「アイスではないのか」
「違うのだよ。君達、地球人類の味方だ」
「私をなぜとりこんだ」

「違う、聞達えてはいかん。私は、君を保護したのだ。なぜなら、君にある仕事をしてほしいのだ。
「仕事だと」
「君に、ある人物の「青き騎士」になってほしいのだ」
「騎士だと、この俺さまが、青さ騎士だと。笑わせるな」
「いや、君は笑うが、彼女を我々のもとに連れてこざるをえまいI
「彼女−女か」
「そうだ」
「どんな女だ.そいつが我々、人類の救世主ってわけか」

「彼女は、まだ覚醒していない.今の職業は、殺し屋で。おまけにおたずね者だ」
「はっは?笑わしてくれるそんな女が、俺を「青き騎士」として必要としているのか、
こんな笑い話は連邦軍の中でも聞いた寥がない.最高だぜ」
「ごの荒野の狼と呼ばれる俺が、「斉き騎士」になるだと、これは今までに聞いた最大のジョークだよ。
しかし、翔はきすく.

「まてよ。、、、ひよつとして、今までに出現した「青き騎士」。
皆、お前が郎ってきたというわけか.恐るべき存在だよな.、地球意志とやら」

「翔よ.君も気付いでいるだろうが、アイスの活動が活発になりでいる。
早くアイスを停めなければ、地球がすべて支配下となる」
最近は、気候結界を越えて、アイスが攻め込んできているのだ。

「今までに捕獲された人類の数も多い。人類がアイスの世界に適応してしまえば、アイスの思うつばなのだ」
「で、おれにどうしろと」
「彼女を、助けてほしい」

 「どう思う零」
今まで黙っていた零が、口をはさんだ。
 「地球意志とやら。我々に、お返しとして何をしてくれるのだ」
零が地球意志に直接閲いた
「そうだな、自由を与えてあげよう」
「今でも、自由だ」
「連邦軍に監視され統けている傭兵に、近しい存在の君たちが自由だと、、フフ、、笑わてくれるね。
翔と零、本当に自由に生きるという事を教えてやろう、ともかく彼女を助けてくれたら、こうしてあげよう」

 翔と零は、急に何者も存在しない空間にいた。足下に地面もなく、いわば空間に浮かんでいる。
辺りは、夜明けすぐのように、薄暗く、光もなく、永遠に何もない空間がつづいているようだ。
「ここはどこだ、零」
「わからん」
その瞬間、急激なイメージの奔流が、翔の頭の中を駆け巡った。
.もちろん零の電子頭脳メモリー内も。
宇宙の中、あらゆる星の中を巡り、歴史の中をとうり、
空間、時間の中をすばやく通り過ぎる感じだ。まるで
大型のジェ絵とコースターに乗って。統べての星母子の
歴史空間の中を走りすぎていく感じ立った。
どのくらいの時間たったろうか。

彼らは、いつのまにか再び、戦場にもどってぃる。無傷で
最初の戦場の地面に立っていた。.
「今のは、夢か、零」
「いや、通う.俺のメモリーバノクにも残っている」
「地球意志だと」いいったい。
「ふざけ名前だな?」
「しかし、力はあるようだ。様子をみるか、どうせまた、我々に接触してくるだろう」

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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 12:40
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私の中の彼へー青き騎士ー第3回
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私の中の彼へー青き騎士ー第3回
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●シーン5
私、沙織の最初の記憶だ。

 青い空がどこまでも拡がっている。
大地はまっ白だった。その日は、雪景色だ。妙にかわいた雪景色だった。

 私は何かの「全天候型ワゴン」に乗っていたのだろう。窓から外をながめてい
た。青と白の対比が美しかったのを憶えている。
空から、何かごま塩のようなものが急に拡大していた。

「いかん、やつらだ」
男の声を記憶している。
たぶん、父の声だったと思う。

定かな記憶ではないのだ。

「あなた、この子を」
女の人の声だった。
美しい横顔だったと記憶している。

 その飛行物体はワゴンの上に落下し、天井をつきやぶった。
「逃げろ」
父は叫んでいた。
「あなた」
私は小脇にかかえられていた。泣くひまもなかった。


父の体はその飛行物の触覚に突きやぶられていた。

「や、やめて。この子だけは」
女の声だった。
この声も途中でとぎれた。

血の海の中に倒れていた。

私は雪の中にころがっていた。

そいつが近づいてきた。
触手がゆっくりと私の顔に近づいてくる。
 痛みで私は気をうしなう。

私が気をうしなう前に、「ワゴン」から何か、機械が、飛び出したような気がする、

〈アム〉。
そういう名前だった。

たぶん、父が作りあげた最高の人工頭脳機械。

何をするものだかその時には、残念ながら、わかっていなかった。

私の人生の始まりだった。

「紅い涙」を流したのは、この時が最初だと思う。
私の長い命は、この「紅い涙」にまつわる話となるのだ。

そして、私は、この時、敵アイスに対して、

「復讐」という感情を、深く深く心臓に刻みつけた。

●シーン6

「誰なの、僕に話しかけるのは」
6歳の翔は驚く。

初めて、「零」にあった時、翔は、その存在を理解できなかった.

やがて、翔が、零の事を理解しえた折り、零は言う

「翔、ようやく、私の姿が見えたようだね」

静かなる心にしみいる声だ。いや声以上のものだ。
翔は思った。

「君の相棒さ、零という」

「零、君はどこにいるの」
「君の外殻、つまり、装甲機さ」

「その装甲機がなぜ、しやべれるの」
「君と同じように生命を持っている。が私の役目は、君を守り、優
秀な戦士に育てあげることだ」
「ねえ、零、皆、優秀な戦士とかいうけれど、なぜ、優秀な戦士に
ならなければならないの」

 零には答えようがなかった。
急に別の声がした。

『それが、君達の生きる目標なのだ。そういいたまえ、零』

連邦地球軍の指導官だった。
すべて、装甲機と装甲兵の会話はモニターされている。

しばらくして、零は答える。
『できません』
『ふつ、零。君は我々の命令に服従しないのか。君の役目は、彼を守り育てる
ことだ。思想教育は必要ではない』

『承服できません』
少しばかりの沈黙があった。
『生意気な機械め』
怒りが、翔の心と体に振動を与える。
「お願い、零をいじめるのはやめて。僕の友達だもの」
翔は叫ぶ。
『いいか、今後、このような場合、すべからく、君をスクラップに
して、翔には、別の装甲機をあてるぞ』
[....]
零は答えぬ。
「今回は大目にみよう』
「よかったね、零」

 連邦地球軍は、新生児に、戦闘優良因子を持つ適性検査を行ない
子供を隔離し戦士に育てる。それゆえ、翔も、自分の両
親の顔を知らない。古代スパルタの戦士のように。

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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 00:32
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私の中の彼へー青き騎士ー第2回
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私の中の彼へー青き騎士ー第2回
青き騎士(1992年)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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 まわりは荒野だった。
それも血みどろの荒野だった。
改造された彼・翔(しょう)の視覚機能は、風景を人間とは異なる視点からながめることができた。零の力で見ることができる。

 翔の乗る、人工頭脳装甲機・「零(レイ)」の電子のグリッドが、彼、翔の眼の前に拡がっている。

 軍務についた最初は、希望にみちあふれていた。若さと、おのれの未来に対する希望。未来は栄光で満ちあふれているはずだった。対「アイス」戦が彼の未来、希望を打ちくだく。

 今の彼は荒野の狼。個々人の判断で勝手に行動するワンマンアーミー。索敵し、攻撃する。
 通常の正規戦では「アイス」に対する勝算がないと理解した地球連邦軍はヒット=エンド=ランのゲリラ戦を展開していた。

地球連邦の敵「アイス」は、ある一定以上の気候帯には侵入しない。

南極がその戦略地域であり、対地球軍との戦域は「アイスフィールド」と呼ばれ、対「アイス」用の戦士のみが生棲していた。弱点をみつけ、「アイス」を撃破すること。

それが翔たちに与えられた任務であった。
が。翔の出身学校「連邦士官学校」いわゆる「バトルスクール」での装甲機兵科で現時点で生存している人間は約5%であった。
翔も対「アイス」戦でかなりのダメージを受け、補給もままならぬ戦略の泥沼の中で自らの運命を呪っていた。

 おのれの技量に対する信頼。世界はすべて、彼翔のためにあるように思えた。突出せぬばかりのエネルギーが彼の体に宿っていた。対「アイス」戦までは。

 対「アイス」戦は、翔の神経をずたずたに切りきざみ、体力・気力もなえさせ、あらかたの未来に対する希望をもはぎとっていた。

 彼1人のために創られたいわば、オーダーメイドの巨大な人工頭脳装甲機。初めて装着した時、翔は感じた。
自らの能力を高めるための補助機能。零。
 そう、人類の神から与えられた最も秀れた機械。

 電子戦のための高度なテクニックが必要だった。
 敵をほふるためのあらゆるテクニック。翔は短時間で修得していた。

 敵、アイスの飛行端子は、連邦連邦軍の船に侵入し、連邦軍の人間の頭に触手をうちこむ。
その触手には「アイスブレッド」をうめる機構がそなわっている。打ち込まれたアイスブレッドは、
人間の脳内で微妙に変化する。
 彼らアイスは人類を殺しはしない。
冷徹に人間1人1人の頭にアイスブレッドをうちこんでいくのだった。

 人類をアイスに同化させていくのだ。
アイスの命令をきく。がそれに適応できなく、廃人となるものもでた。
アイスブレッドを打ち込まれた子供はある一定年齢になると、アイスの命令を聞き始める。それゆえ、子供の関しては、16才まで人類の味方だった。

が、彼らは、「ニュー・オーハン」とも呼ばれた。
地球の孤児である。連邦軍の支配にあった。

 翔は、“零”に闘うことを命じた。
 幼ない頃から翔は“零”と共に育った。

翔にとって、オーダーメイド人工頭脳装甲機である零はいまや肉親以上の存在である。
 翔の身長、体重、大きさが変化するにあわせて“零”もチューンアップされた。零は、翔にとって、別の意味で腕や足と同じで肉体の一部である

 地球連邦軍は子供が生まれた時、適性検査を行ない、優良因子を持つ子供たちをかく離し、特別に育てた。それゆえ、翔もまた、自分の両親の顔を知らない。

 連邦政府の保護のもと、昔の学校制度と同じ様に、翔は機動装甲兵として育てられた。所属は“狼”部隊である。

シーンNo4
「翔、気をつけろ」零の言葉が翔の意識に入ってくる。
アイスの飛行体だった。
「アイス・レンズ」。中央部が盛り上がり、レンズの形をした円盤であった。

 レーザー光線が、翔の体をねらって襲いかかってくる。
 上空で何かがはじけたようにボンという音がした。

 まるで花火のように小さな部分が散らばっている。それがすべてアイスの分身なのだ。アイス端子。アイスの意志を持ち稼働する。大空を被ったそれは一勢に翔をめがけて飛来してくる。

「おいでなすったぞ、翔」
「ああ、零、腕の見せどころだな」
 零の装甲機からも火花がほとばしる。

アイス端子の光子と、装甲機から放されて光子が、空中で交錯し散華する。火花と火花があいあらそっているようにも見える。
 襲撃が終ったアイスの分身は、アイスレンズ本体ごと翔の方へ向ってきた。

「いよいよ、本体が」
「まっていたぞ、この瞬間を」
 翔の手には、装甲機に装着された「剣」がにぎられている。
 瞬間凍結を可能にする剣だった。
絶対零度を与えるSB(スペシャル・ブレイド)。
 その零度のおりSBへやつらをつめこみ、分子のかけらまで破壊するのだ。

 翔のSBが、本体ボディにあたる。瞬時、大きな音がする。
空気が振動する。
アイスレンズは瞬間とまり、自らの重量で落下していった。
 
戦いのあとで、

「零よ」
翔は装甲機に呼びかけていた。

「俺は君と生きていけることに喜びを感じる。君といるこの世界は何とすばらしいのだろう」
 零は答える
「翔よ、それは私も同じだ。普通ならばどこかの機械のCPUにすぎない私だが、君のおかげで別の生命体験をすることができる」
「君にとって生命とは何だろうな」
「その同じ質問を、翔、君にかえすさ」
零は続ける。

「翔、いつまでも生きろ、そうすれば同じように私はすてきな生命体験をくりかえすことができる」
「ああ、できればな、零、が、人間には寿命というものがあるのだ」

「諦観か、翔。君にはにつかわしくない」
「いや、そうではない」
「心配するな、君を守ってやるさ、翔」

「零、笑わしてくれるなよ。それよりも俺が死んでしまったらどうする、他の装甲機のように自爆するか」

「そうはしない」
「が、連邦政府は乗り手のいない装甲機の存在は認めないぞ」

「しかし、俺は違う生き方をしたい」
「おいおい零、連邦政府が俺達の声をモニターしているんだぜ」

「翔、君は俺の生き方をバックアップしてくれるだろう」
 翔は、零と話ながら、連邦軍の運搬ラインのストリートに着地した。

が、その瞬間、足元から零が沈む。

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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 00:29
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私の中の彼へー青き騎士ー第1回
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私の中の彼へー青き騎士ー第1回
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 もう、かなり昔の事だ。私,沙織(さおり)は、まさか彼,翔(しょう)が、私の探し求めていた「青き騎士」だとは、その時は、気がつかなかった。
若気のいたりというものだろう。
もし、あの時……。
いや、もうやめておこう。
 時間は、2度と戻ってこない。

シーン2

「恐い子だよ」
その時、私は何をしていたのだろう、記憶はなかった。

「何しろ、この子の頭の中には、悪魔が住んでいるのさ」
養父母が言った言葉だ。私の耳の奥にいつも残っている言葉だった。

 その時も、私は彼らに尋ねていた。
「アイスフイールド」のそばにある小さなコロニーだった。
コロニーの前を連邦軍の車両が轟音をたててとうりすぎていった。

「ねえ、それどういう意味なの」
「ふん、自分で知っているくせに白々しい子だよ」
「そうだ、どうせ、私達の事も、心の中ではあざわらっているのさ」
 なぜ、どうして、私を、普通の子供のように扱ってくれないの。
 確かに私は父と母をうしなって、法律により、救済され、
この父母におしつけられた子供だった。
が、この時、地球は、生か死のせとぎわだったはずだ。
《アイス》との戦争でたくさんの人々が死んでいた。
ともかくも、この私に対する疑問、救済が、私の長い旅の始まりだった。

 《人民の王》となって私がさとった事は、
私が、あの人にとって《青き騎士》だったという事。
そして、気づいた時には、あの人はとても手がとどかない遠いところにいた。

私が、彼をうらぎり、そして彼は死んだ。

(続く)
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author:山田企画事務所, category:SF「青き騎士」, 00:27
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